院長先生のブログ
タワマンで心停止になると生存率は低いのか?
関東に住んでいたとき、地味にどうなんだろう?と疑問に思っていたことです。
高層階が低層階よりも搬送に時間がかかることはすでに報告されており、容易に想像がつくと思います。では、高層マンションで心停止に陥った場合の生存率は低いのでしょうか?( Journal of clinical medicine. 2021 Oct 13;10(20))
JCM | Free Full-Text | Cardiac Arrest Occurring in High-Rise Buildings: A Scoping Review (mdpi.com)
高層ビルにおける院外心停止(OHCA)に関する文献を収集したもので、23件がレビューされました。
4件の研究では、循環動態の回復率が有意に低く、7件の研究では、退院までの生存率(n=3)および神経学的に良好な生存率(n=4)が、高層階で有意に低くなっていることが分かりました。
そして、OHCA7,842例を扱った研究では、5,998例(76.5%)が3階以下、1,844例(23.5%)が3階以上で、たったこの階層差だけでも低層階のほうが生存率は高かったと報告されていました(4.2% vs.2.6%、p=0.002)。階を重ねるごとに生存率は低下し、16階以上で0.9%、25階以上では0%と報告されています。
以上を考えると、25階以上に住んでいる人は要注意ということになりますw
論文中では、高層階におけるOHCA対策としてAEDの設置台数を増やしたり、機械的な胸部圧迫装置を常備したりするなどの策が提案されていました。。
これからは、住む場所もよく考えて決めないと行けませんねw (小児科 土谷)