院長先生のブログ
せんそうしない
先日、亡くなられた谷川俊太郎さんへの追悼の意を込めて1冊の絵本を紹介したいと思います。
「せんそうしない」(講談社 2015年7月刊)
たにかわ しゅんたろう ぶん
えがらし みちこ え
谷川俊太郎さんの簡潔な言葉に、暖かい江頭路子さんの水彩画が上手くマッチして、心の奥深くに染みわたる思いを抱かせるような絵本です(「せんそうしない」というテーマをかみくだいた言葉で、わかりやすい絵で伝えています)。
作中で印象深かったフレーズは
「こどもと こどもは せんそうしない」「けんかは するけど せんそうしない」
その対をなすように次ページには
「せんそうするのは おとなとおとな」「しぶんのくにをまもるため」
「じぶんのこどもまもるため」と記されています。
けんかはしても戦争はしない「こどもの賢さ」と、戦争を繰り返す「おとなの愚かさ」が、この2ページから伝わってきます。
そして、
「でも、せんそうすれば ころされる」
そして、
「ひとが ひとに ころされる」
「しぬより さきに ころされる」
「しぬ」のではなく、「ころされる」のだと。。。。
戦争とは殺し合いだと言うことを、1ページだけある暗い廃墟の街の場面で谷川さんは伝えています。
この絵本が出されたのは2015年7月(安保法制をめぐって動きがあった年)。
あれから約10年が経とうとする現在、残念ながら、まだウクライナやガザで戦争は続いています。
谷川俊太郎さんが遺した「せんそうしない」を胸に刻んで、一日も早く「せんそうしない」世の中がやってくるよう、心から願っています。
そして最後に、平和を希求した詩人、谷川俊太郎さんの功績に敬意を表するとともに、哀悼の意を表したいと思います。 (小児科 土谷)