今回は大人のワクチンに関する話題です。

一般的な成人向けのワクチン接種が認知症リスク低減と関連しているか評価した論文( Age and ageing. 2025 Oct 30;54(11); pii: afaf331.)を紹介します。

Association between vaccinations and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis – PMC

 

2025年1月1日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Scienceよりシステマティックに検索しました。

対象研究は、50歳以上の成人において、ワクチン接種を受けた人と受けていない人の間で認知症および軽度認知障害(MCI)の発症率を比較した観察研究としました。4人の独立したレビュアーがデータを抽出し、ニューカッスル・オタワ尺度を用いて研究の質を評価しました。リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いました。主要アウトカムは、認知症(そのサブタイプを含む)の発症率としました。

 

その結果、分析対象研究は21件(参加者:1億403万1,186例)でした。

帯状疱疹ワクチン接種は、すべての認知症(RR:0.76、95%CI:0.69~0.83)およびアルツハイマー病(RR:0.53、95%CI:0.44~0.64)のリスク低下と関連していました。インフルエンザワクチン接種は、認知症リスクの低下と関連しており(RR:0.87、95%CI:0.77~0.99)、肺炎球菌ワクチン接種もアルツハイマー病リスクの低下と関連していました(RR:0.64、95%CI:0.47~0.87)。また、破傷風、ジフテリア、百日咳の三種混合ワクチン接種も、認知症発症リスクの有意な低下と関連していました(RR:0.67、95%CI:0.54~0.83)。

 

以上から、成人に対するワクチン接種、とくに帯状疱疹、インフルエンザ、肺炎球菌、三種混合のワクチン接種は、認知症リスクの低下と関連していることが分かりました。

 

日本の超高齢化社会という現状を考えると、認知症予防のための公衆衛生施策として、ワクチン接種戦略を組み込むのも「あり」かもしれませんねw (小児科 土谷)