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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

心肺蘇生時の「家族の立ち会い」④

昨日に続いて、心肺蘇生時の「家族の立ち会い」に関してですが、今回は医療従事者(スタッフ)の心のケアについてです。

人の死は患者家族のみならず、医療者の精神状態にも多大な影響をもたらすのは言うまでもありません。現場では、機械的に蘇生行為をしているように見えますが、それは自分の精神状態が崩壊しないように自己防衛が働き、あたかも死に対して鈍感であるかのように装っているだけで、決して人の死に慣れている訳ではありません。

 

病院医師に患者の死に直面した時の精神状態について調査した報告(BMJ 2003;327:185–9)では、患者の死を看取ることが出来て74%の医師は満足であったと報告していますが、ストレスに関しては最大を10とした場合、中等度(4.7)のストレスを感じていたとされています。

人の死に遭遇することが多く、そのような現場に慣れている医師であっても、当然それなりのストレスは感じているのです。ちなみに、この報告では医師経験年数とストレスの感じ方には特に関係性は見いだせませんでしたが、女性医師や患者との付き合いが長い医師ほど、患者の死に直面した時により感情的にストレスにさらされ、上級医よりも研修医はより精神的サポートの必要性を感じていたとされています。

医療の現場におけるストレスマネージメントは必ず必要なものですが、残念ながら蘇生活動後のデブリーフィングが組織だった体制で実施できている病院は日本国内にはまだ少なく、発展途上の分野と言わざるを得ません。

 

効果的なデブリーフィングにはメリットが多くあります。効果的なデブリーフィングのためには、決して非難せず、オープンに気持ちを語り合い、互いに経験を共有し、今後に活かすようなポジティブな話し合いにすべきです。患者の「死」に直面したスタッフ自身が人の死に直面してストレスを感じた場合、まずしっかり休養を取りましょう。そして、一人で抱え込まず、経験ある上司や頼れる先輩に相談してみて下さい!職場の皆さんと一緒にそのストレスを乗り越えていきましょう。 (小児科 土谷)

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