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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

long COVIDの病態 -その他⑩-

long COVIDの機序として、新たにゴナドトロピン放出ホルモンニューロンの障害が報告(eBioMedicine. Sep 12, 2023(doi.org/10.1016/j.ebiom.2023.104784))されました。long COVIDの一部の男性で低テストステロン血症を認めることから、long COVIDの認知機能障害にGnRH系神経細胞の障害が関与する可能性について検討した研究です。

Long-COVID cognitive impairments and reproductive hormone deficits in men may stem from GnRH neuronal death – eBioMedicine (thelancet.com)

剖検脳とヒト胎児組織を検討に用いました。

まず、一部の男性における持続性低テストステロン血症が視床下部由来であることが示され、その機序として嗅覚神経細胞とTanycyte(視床下部の多機能グリア;神経新生を通して摂食や体重、エネルギー代謝を制御)への感染が考えられました。

 

また感染したGnRHニューロンは、検索したすべての患者脳でアポトーシスを来して死滅しており、GnRH発現が劇的に減少していました。また、胎児のGnRHニューロンも感染による障害を受けていました。

以上から、GnRHニューロンおよびTanycyteの障害がlong COVIDにおける神経発達障害や神経変性疾患リスク上昇につながる可能性が示唆されました。

 

これまでにゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の喪失とアルツハイマー病などの認知機能障害との間に因果関係があることが報告されていますが、long COVIDの病態にも関与している模様です。long COVIDの病態を理解するのは一筋縄ではいきませんね。。(小児科 土谷)

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