院長先生のブログ
喘息の一次予防⑤
母乳栄養は子どもの喘息発症を減らすのでしょうか?
オランダでの小児5675人に対するコホート研究です。その結果、母乳を飲んでいない小児の喘息発症リスクは1.69倍(95% CI: 1.06-2.69)と高いことが分かりました。その理由としては、母乳栄養そのものが喘息発症を予防するというよりも、母乳栄養によって感染リスクが減るからではないかと推察されています。
その一方、母乳栄養でも有意差は出なかったとする報告もあります。
ベラルーシの健常乳児17046人に対し、母乳栄養推進群と通常ケア群に分けランダム化して介入した結果、16歳までの経過では喘息発症に有意差はなかった(OR, 0.76; 95% CI, 0.47 to 1.23)と報告されています。
以上から、母乳栄養自体の長期的な喘息発症予防効果はまだはっきりしないようです。
しかし、母乳栄養は感染予防に有効であることは明らかであるため、現時点では、一部は喘息発症に有効に働くかもしれないという感じでしょうねw (小児科 土谷)