5類感染症になってもウイルスの本質は大きく変わってはいないため、コロナ後遺症の問題は年齢を問わず、いまだに解決されていない大きな課題です。今日はlong COVIDに関する論文（JAMA. Published online April 6, 2023. doi:10.1001/jama.2023.5348）です。

COVID-19の急性期におけるニルマトレルビル/リトナビル（パキロビッド）による治療がlong COVIDリスクを低減させるかについて検討した研究です。SARS-CoV-2陽性反応後5日以内にニルマトレルビル/リトナビルの経口投与を受けた3万5717人と治療を受けなかった24万6076人を比較しています。その結果、対照群と比較して、ニルマトレルビル/リトナビル群はlong COVIDリスクの低減と関連していました（RR, 0.74; ARR, 4.51%）。他にも、急性期以降の死亡（HR, 0.53; ARR, 0.65%) および急性期以降の入院（HR, 0.76; ARR, 1.72%）リスクの低減とも関連していることが分かりました。

以上から、適切なタイミングで抗ウイルス薬を内服することが出来れば、コロナ後遺症のリスクを低減させることができることが分かり、コロナ後遺症の予防という観点からも早期診断＆早期治療は非常に重要です。

ただ残念なことに、このニルマトレルビル/リトナビル（パキロビッド）は重症化リスクのある患者のみに適応となっている治療薬であるため、小児や若者、持病のない人は服薬できません。Long COVIDに対する治療の選択肢が限られている現在の状況では、罹患する確率を下げるため、感染予防対策を無理のない範囲で続けましょう。　（小児科　土谷）