院長先生のブログ
乳幼児の車内熱中症に気をつけよう

昨日に引き続き、熱中症についてです。これから暑くなる時期ですので。。
保護者の方々がそばで見ていることが多いため、外遊び中に乳幼児が重い熱中症にかかることは少ないように思います。しかし、車内に子どもが閉じ込められて起こる、車内熱中症は要注意です。
米国の小児の熱中症による死者数を見てみると、2004~2018年に1歳未満で計247名、1~4歳で428名、5~14歳で73名、計748名が死亡したと報告されています(Morbidity and mortality weekly report, 2020. 69(24): 729-734.)。一方で、その15年間に車内に取り残されて熱中症で死亡した児の数は583名とも報告されています(Hot Car Deaths – Injury Facts (nsc.org))。すなわち、子どもの熱中症による死亡事故の半分以上は車内熱中症が原因と考えても構わないという訳です(亡くなるほど重症化するケースの殆どは車内の熱中症というわけ)。
JAFの実証実験(車内温度/夏(JAFユーザーテスト) | JAF)によると、気温35度のときに戸外に駐車した車内では、エンジン停止後瞬く間に温度が上昇し、15分で人体に危険なレベルに達すると報告されています。
大人は服を脱いだり、冷たい飲み物を摂ったり、涼しい場所に移動するような、体温下げる行動をとることが出来ますが、まだ小さな乳幼児にはそれが簡単には出来ないのです。その結果、子どもが車内に置かれてしまうと熱中症のリスクが非常に高くなるのです。たとえ車の冷房がついていたとしても、メンテナンスが不十分な場合もありますし、車内の子どもが間違って冷房のスイッチを切ってしまうかもしれません(子どもの行動は予測不能なんです)。
乳幼児を車内に残して車を離れることは絶対にダメ!
最後に、JAFの行った「子どもの車内事故に関するアンケート調査」の結果を紹介します。
この調査は2022年12月13日~2023年1月12日、同居に関わらず家族に12歳以下の子どものいる男女246名を対象にインターネットで行われました。
その結果、「時間の長さに関わらず、少しの時間であっても子どもを車内に残したまま車を離れたことがありますか?」と尋ねたところ、54.9%が「ある」と回答していました。その理由は、「用事(買い物や兄弟の送迎など)を終えてすぐに(5分以内)車に戻ることができるため」が最も多く54.8%、次いで「子どもが寝てしまい、起こさないため」(19.3%)、「子どもの希望(降りるのを嫌がるなど)」(12.6%)でした。
子どものためと思った行動が、逆に子どもを危険にさらしているのです。
最後にもう一度言います。
子どもを車に残して車から離れることは絶対にやめましょう! (小児科 土谷)