院長先生のブログ
軽症COVID-19患者の約4分の1に視覚構成障害を認める
COVID-19が5類になり、話題に上ることも減りましたが、今日は軽症COVID-19に関する論文(Mol Psychiatry 28, 553–563 (2023).(doi.org/10.1038/s41380-022-01632-5))です。
COVID-19患者の軽症例について検討したブラジルからの報告です。
軽症COVID-19から回復後、少なくとも4ヶ月経過した成人を対象に神経心理学的検査と眼科的検査を行うとともに、免疫マーカー測定と構造MRIおよび18FDG-PETを実施し、脳の構造変化と臨床症候の相関について解析しました。
その結果、多くの神経心理学的検査での障害の頻度は8%前後であったものの、視覚構成能力の検査であるレイRey複雑図形検査では26%という高頻度の障害が認められました。
この変化は脳画像検査の変化と相関し、かつ末梢免疫マーカーのupregulationとも相関していました。
現在、捉え切れていない患者を含めると、軽症COVID-19感染者が多数存在するものと予想されます。
これらの患者を軽症だからといって放置せず、包括的な認知機能障害の評価を行うとともに、遷延する症状の有無やリハビリの必要性について明らかにする必要があります。
それにしても、COVID-19は厄介ですね。。(小児科 土谷)