院長先生のブログ
long COVIDの病態 -ウイルス再活性化②-

昨日に引き続き、long COVIDの病態に関する論文、その中でも「ウイルス再活性化」について書かれたものを紹介します。
COVID-19感染歴のある成人280人において、EBウイルス(EBV)とCMウイルス(CMV)の再活性化が及ぼす影響について検討した論文(J Clin Invest. 2023 Feb 1;133(3):e163669.(doi.org/10.1172/JCI163669))です。
最初の診断から4カ月後の疲労や認知機能障害などのlong COVID症状は、最近のEBV再活性化(早期抗原拡散IgG陽性)や高いEBNA IgGレベルと独立して関連していました。
最近のEBV再活性化(早期抗原拡散IgG陽性)は、疲労と最も強く関連していました(OR 2.12)
HIV感染も認知機能障害と独立して関連していました(2.5)
逆に血清学的にCMV感染の既往を認める場合、認知機能障害を呈する可能性は低下しました(0.52)
以上から、COVID罹患後に再活性化するウイルスの種類でlong COVIDへの影響や症状が異なることが示唆されました。
個人的にCAEBVの苦い思い出があるので、EBウイルス持続感染(再活性化)というと嫌なイメージしか沸いてこないです。
それにしてもlong COVIDにはいろんな要因が複雑に絡み合っているのですね。。 (小児科 土谷)