院長先生のブログ
long COVID 画像編②
今日もCOVID-19感染後に生じる画像変化についての研究を紹介します(Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Aug 30;119(35):e2200960119)。
COVID-19軽症患者81名(62名で嗅覚・味覚障害)のMRIで、眼窩前頭皮質の萎縮を確認し、COVID-19で死亡した26人で、経鼻腔アクセスにより採取した眼窩前頭領域の脳組織を病理学的に検索しました。
5人に組織損傷が認められ、全例でウイルス遺伝物質(N遺伝子)を認めました。全細胞の37%がスパイク蛋白陽性で、特にアストロサイトに多く認められました。感染アストロサイトはエネルギー代謝、神経細胞のエネルギーとなる主要な蛋白質や代謝産物、神経伝達物質の生合成に変化が生じており、感染は神経細胞の生存率を低下させる分泌型への変化を促したことが分かりました。
以上から、SARS-CoV-2ウイルスが脳に到達してアストロサイトに感染し、その結果、神経細胞死と機能障害につながるというモデルが示唆されました。
軽症COVID-19患者でもこういうことが起こり得るという点が恐ろしい。。(小児科 土谷)