院長先生のブログ
long COVID 画像編③
本日はCOVID-19が脳に影響を及ぼす部位をメンデルランダム化解析を用いて検討した論文(Lancet preprint(dx.doi.org/10.2139/ssrn.4356797))を紹介します。
COVID-19の表現型に関するGWASデータ(COVID-19 2万8900人,対照325万1161人)をexposureとし、脳構造に関するGWASデータ(皮質の厚さと表面積5万1665人、皮質下構造体積3万717人)をoutcomeとしました。
表現型は尾側中前頭回における皮質厚の減少と関連していました(β = -0.004, p = 0.041)。
入院中の表現型は、外側眼窩前頭回(β = -0.005, p = 0.033)および吻側中前頭回(β = -0.002, p = 0.003)の皮質厚の減少と、中側頭回(β = -10.886, p = 0.027)の皮層表面積減少と関連していました。これらの因果関係は重症例でも確認されました。
さらに重症例では楔部の皮質厚の減少(β = -0.002, p = 0.017)、pericalcarineの皮質表面積の減少(β = -2.663, p = 0.049)、上頭頂回(β = -5.631, p = 0.041)、海馬傍回(β = -0.147, p = 0.03)、および海馬の体積減少(β = -15.913, p = 0.002) が認められました。
以上から、COVID-19は特定の脳機能領域に萎縮を引き起こす可能性があること示唆されました。
知るほどに、COVID-19は嫌らしい感染症だと思い知らされますね。。 (小児科 土谷)