院長先生のブログ
子どもの頭部打撲 -生後5か月~1歳-
今日は昨日の続きです(子どもの頭部打撲)。頭部打撲は子どもの発達段階によって、その受傷機転の特徴と対策が変わります。今回も発達の特徴、受傷機転の特徴、対策の3つに分けて簡単にまとめます。
生後5か月~1歳頃
1)発達の特徴
この時期は子どもの発達の過程で、最も劇的に運動機能の発達を遂げる時期です。
生後6か月:寝返り
生後7か月:お座り
生後8か月:はいはい
生後10か月:つかまり立ち
子どもの移動範囲が平面的、立体的に拡がります。昨日まで出来なかったことが、急に出来るようになるため、保護者の対応が遅れがちになります。
また、子どもがお座り出来る時期になると、子どもの体力がつくのと同時に保護者の行動範囲も広くなります。保護者が自転車やバギーに乗せて外出するようになり、家庭外での事故も起こるようになります。
2)受傷形態の特徴
寝返りやハイハイなどにより、ベッドやソファから転落する頻度が多くなります。他に、軒先の段差から落ちたり、大人が目を離している時に階段から落ちたりする事故も多くなります。
つかまり立ちするようになると、安定性の悪い椅子などの上に立ち上がると、転落することもあります。
交通事故:保護者とともに自転車で被害に合うばかりでなく、荷物を先に下すなどしている間に後部座席に座っている子どもが自転車ごと転倒する事故も多く見かけます。
他に、ベビーカーから身を乗り出して転落したり、ベビーカーのブレーキをかけ忘れて坂道を転げ落ちることもあります。チャイルドシートをきちんと車の座席に固定していないことによる事故も後を絶ちません。
3)対策
子どもから目を離すときは、「転落する可能性がある高さに子どもを置かないこと」が原則です。
ベッドに寝かせる際は必ず柵を使用します。子どもが上層階にいる時に、子どもから目を離すときは階段の上側に柵をつけます。子どもが座る椅子は、子ども用の安定性が良く、体幹を固定できるものを使用すると良いでしょう。
子どもを自転車に乗せる時はヘルメット装着は必須です。
子どもを自転車に乗せるタイミングにも気を付けましょう。子ども一人で自転車に乗せたままにする時間がないようにしなければなりません。
ベビーカーやチャイルドシートのシートベルトの不適切使用をさけ、しっかり固定するように心がけましょう。
ベビーカーは坂道などで自走し、転倒・転落する可能性もあります。ロックがかかるものを購入するのも良いでしょう。自転車同様、子どもが一人でベビーカーに乗ったままの時間を作らないように心がけましょう。
年齢ごとに起こり得る事故の特徴を理解しながら、一歩先を予測して対策を講じることが大切です。次回は「1歳~3歳頃まで」に絞って紹介します。 (小児科 土谷)