院長先生のブログ
子どもの頭部打撲 -1歳~3歳頃まで-
今日も昨日の続きです。頭部打撲は子どもの発達段階によって、その受傷機転の特徴と対策が変わります。今回も発達の特徴、受傷機転の特徴、対策の3つに分けて簡単にまとめます。
1歳~3歳頃まで
1)発達の特徴
〔運動面〕
1歳を過ぎると独り歩きをし始めます。
1歳半頃には走ったり、何かに上ろうとします。
2歳になれば階段の上り下りもします。
3歳では、さらに高い所を目指すようになると同時に、三輪車などを使って遊ぶことも出来ます。
〔精神面〕
2歳頃から自我が芽生え始めるので、言うことを聞かなくなり始めます。このため、これまで出来ていたヘルメットやチャイルドシートを嫌がったり、自転車の上で暴れたりするようになります。
知らないことにも興味や挑戦心が芽生えるため、保護者の制止をきかず興味本位で何でもしたがるようになります(危険予知はできません)。
2)受傷形態の特徴
年齢が低いほど、頭部が重く重心が上にあるにもかかわらず、脚力やバランス感覚に乏しいので簡単に転倒します。
階段での転落事故は、子どもが2階にいる時だけでなく、1階にいる時でも起こり得る点が要注意です。階段を上ろうとしている時に発生する階段転落に注意しましょう。また、窓やバルコニーの近くに台になるようなものがあると、それを踏み台にして転落する事故も発生します。
交通事故:道路への飛び出し事故が発生し始めます。三輪車などでも転倒する機会が多くなります。
自転車や車に乗せる時もシートベルトやヘルメットの装着を嫌がるようになります。
3)対策
子どもが転ばないように、自宅の床は整理整頓しましょう。滑りやすいカーペットにも注意しましょう。
目を離したすきに、子どもが階段を上ってしまうことを想定して、1階にも柵を設置する必要があります。窓やバルコニー付近に子どもがよじ登れるような台がないように注意しましょう。
自我の芽生えによりヘルメットやシートベルトの装着を嫌がりますが、必要性を言い聞かせ「装着しなければ車道に出ない」ようにして習慣化できるように努めましょう。拒否したことで要求が通ってしまうと、次回はもっと難しくなり未装着が常態化してしまうリスクが増してしまいます。
そして、普段から最低限の交通ルール(飛び出さない等)は絵本や人形などを使って繰り返し説明し、ルールの必要性を言って聞かせましょう。
駐車場では、必ず手をつないで行動すること。車を乗り降りする際も、手の届か居ない距離に子どもがいないように注意しましょう。乗車中のチャイルドロックも忘れずに。
普段から被害を最小限に食い止める環境をいかに構築できるかが大切です。
出来ることをひとつずつ積み上げましょうw (小児科 土谷)