昨日に続いて、急性期の神経合併症が生じる機序のうち「2）血管への感染」に関する論文（Neuropathol Appl Neurobiol. Nov 29, 2020.（doi.org/10.1111/nan.12677））です。

点状出血ないし微小血栓を認めた6名の脳病理所見を検討したものですが（2名は播種性血管内凝固症候群を認めたため検討から除外）、うち4名の検討では微小出血が大脳の皮質・白質接合部で最も顕著に認められましたが、脳幹、深部灰白質、小脳にも認められました。2名は血管壁内に炎症細胞浸潤が認められ、SARS-CoV2ウイルス感染に伴う血管内皮炎と考えられました。１例を除いて、脳血管にACE2発現の増加が認められました。

A）肉眼所見では、大部分が皮質近傍の多発出血

B）死後脳のSWI画像で微小出血

C）HE染色による半卵円中心の新鮮な出血

D）脳梁にマクロファージ(CD68)と血液分解産物(Fe)を含む亜急性出血

E）大脳基底核で血管内微小血栓症と血管内皮炎。血管内皮細胞のアポトーシス（活性化カスパーゼ3）、血管内皮内リンパ球（CD45）

以上から、COVID-19における微小出血はACE2発現を伴う血管内皮炎の結果として生じることが分かりました。　（小児科　土谷）