今回はlong COVIDの病態に関する話題です。

Long COVIDの発症に関連する遺伝的要因を明らかにするために、16カ国の24研究から得られた6450人のlong COVID患者と109万3995人例の対照を検討した全ゲノム関連解析（GWAS）が報告（medRxiv. July 01, 2023.（doi.org/10.1101/2023.06.29.23292056））されました。

その結果、殆どの組織で発現する転写因子FOXP4の遺伝子領域rs9367106地点の塩基がシトシンの人では、long COVIDの出現率はそうでない人に比べて約1.6倍高いことが示されました。

これまで、FOXP4とCOVID-19の重症度との関連性が指摘されてきましたが、重症度に対する影響よりも、long COVIDに対する影響の方がはるかに強いことが分かりました（FOXP4はlong COVIDに強く関連する）。

long COVID発症に関わる遺伝子多型が初めて報告した論文です。これから研究が進むにつれて、感染後にlong COVIDになってしまう人の遺伝的・臨床的・免疫学的特徴がどんどん明らかになっていくのでしょう。将来、どんな人に抗ウイルス薬やワクチン接種を行えばlong COVID発症を積極的に予防することが出来るのかが分かるようになれば、外来で役に立つので有難いｗ　（小児科　土谷）