メニュー

   

お電話

見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

long COVIDの病態 -その他②-

今回はCOVID-19による臭覚喪失に関する論文(Nat Commun 14, 4485 (2023).(doi.org/10.1038/s41467-023-40228-7))です。

 

武漢株、その同種のORF7欠失変異体、および3つの変異株(ガンマ,デルタ,オミクロン/BA.1)に感染したゴールデンハムスターの臨床症状、嗅覚、神経炎症について検討した研究です。

 

その結果、感染動物が嗅覚喪失を含めて、ウイルスの種類毎の臨床症状を呈すること(嗅覚障害は武漢株>>ガンマ株でデルタ株、オミクロン株はなし。体重減少や肺重量で評価した重症度は経時的に伴い低下)、SARS-CoV-2のORF7が嗅覚障害の出現に寄与していることが分かりましたが、すべての種類に共通して神経侵襲性を有していることが分かりました(神経侵襲性と嗅覚喪失は独立して生じるも)。

さらに、新たに作製したナノルシフェラーゼ発現SARS-CoV-2ウイルスを用いて、著者らは嗅覚伝導路がウイルスの脳への主な侵入経路であることを確認しました(感染4日後、嗅球の腹側に集積が認められている)。

また、in vitroの実験においても、SARS-CoV-2ウイルスが神経細胞―上皮細胞ネットワーク中の軸索に沿って、逆行性および順行性に移動していることを確認しました。

動物への感染実験により、オミクロン株は(ワクチン接種のためでなく)武漢株等と比べ弱毒化し、嗅覚障害も減少することが示されましたが、それでも嗅覚伝導路を経由して脳に伝わるみたいです。

 

オミクロン株になっても神経侵襲性が減少するわけではないことを覚えておきましょう。 (小児科 土谷)

この記事をシェアする