院長先生のブログ
long COVIDの病態 -その他⑥-
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long COVIDの免疫異常に関して、T細胞免疫の関与について検討した論文(Sci Rep 13, 11071 (2023).(doi.org/10.1038/s41598-023-35505-w))を紹介します。
long COVIDの症状の数、サイトカインレベル、ELISPOTアッセイデータの関係を検討した後方視的研究です。ちなみに、ELISPOTアッセイはINF-γ産生メモリーT細胞の活性化能を評価する検査です。
その結果、ELISPOT低値群では高値群に比べて、持続する症状の数が有意に多かったことが分かりました。要するに、SARS-CoV-2抗原特異的メモリーT細胞の活性化が不十分な患者は、発症初期により多様な症状を示すということです。
以上から、T細胞免疫はlong COVID発症防止に重要な役目を果たすことが分かりました。COVID-19急性期直後にT細胞免疫を評価することがlong COVIDへの移行するかどうかを予測する上で有用なツールとなる可能性があると考えられました。 (小児科 土谷)