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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

COVID-19関連の話題②

COVID-19無症候感染者の遺伝子多型に関する論文(Nature. 2023 Jul 19.(doi.org/10.1038/s41586-023-06331-x))です。

 

アメリカで骨髄移植のドナーとして登録されている約3万名について調査が行われました。

ワクチン未接種でCOVID-19に感染した1428名のうち、136人の無症候感染者を見出しました。この136人はヒト白血球抗原(HLA)遺伝子座の多型HLA-B*15:01の保有率が、症状が出現した感染者と比べて2.40倍高いことが分かりました。そして、同様の結果が英国とCHIRP/LIINCコホートでも確認されました(オッズ比3.56および3.44)。

 

感染しても症状が出現しない機序を明らかにするために、HLA-B*15:01保有者のT細胞を調べたところ、感染の経験がないにもかかわらずSARS-CoV-2ウイルスの一部であるNQKLIANQFペプチドに反応することが分かりました。

NQKLIANQF(NQK-Q8)に非常によく似たペプチドNQKLIANAF(NQK-A8)を季節性コロナウイルス(OC43-CoVとHKU1-CoV由来)が有しています。HLA-B*15:01-ペプチド複合体の結晶構造から、NQK-Q8とNQK-A8はHLA-B*15:01によって安定化され、提示される能力が共通していることが確認されました。要するに、2つのペプチド配列の類似性を頼りに、HLA-B*15:01保有者T細胞はSARS-CoV-2ウイルスに対して、迅速かつ効果的に反応できるものと推測されました。

感染しても無症状のヒトの遺伝的特徴について明らかになってきました。COVID-19は、個人の遺伝的・免疫学的な特徴によって、無症状であることも、重症化・長期化することも定められているみたいですね。 (小児科 土谷)

 

 

 

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