院長先生のブログ
long COVIDの病態 -その他⑦-
long COVID患者における急性期のウイルス動態と宿主免疫応答の役割について調べた論文(medRxiv. July 16, 2023.(doi.org/10.1101/2023.07.14.23292649))を紹介します。
Early Biological Markers of Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 Infection | medRxiv
SARS-CoV-2リアルタイムPCRが陽性になってから5日以内の患者136名を検討しました。
完全回復した患者と比較して、long COVIDを発症した患者は急性期の最初の10日間において、SARS-CoV-2 RNA(回復群と比較して、3日目以降のPCR陽性率が持続して高い)、感染性ウイルス、N-抗原の最大値が有意に高く、ウイルス排出期間が長く、かつスパイク特異的IgG値が低かったことが分かりました。
long COVIDに移行した患者では、完全回復者と比較して有意差は認めなかったものの、MCP-1、IFN-α、IFN-γなどの初期値が高い傾向がみられました。
以上から、急性期におけるウイルス感染の程度とそれに伴う宿主免疫応答がlong COVIDの発症に関与しているものと推察されました。 (小児科 土谷)