院長先生のブログ
子どもの手指外傷
日々の外来で、ときどき手指にケガをして来院されるお子さんを見かけます。いつも「こうすれば予防できたでは?」と思いながら診療しているので、今日は子どもの手指外傷について簡単に触れます。
子どもの手指外傷は、巧緻運動(手先や指先を上手に使って行う微細な運動能力)の発達と関連しています。
疫学的な特徴として、以下のことが知られています。
- 2歳を中央値として、5歳未満に多い
- 強い圧力で押しつぶされることによる受傷機転が最も多い
- 屋内での受傷が多い:特に、乳幼児はドアが原因であることが多い
- 中指・薬指の末節骨の受傷が多く、爪外傷を合併している場合が多い:指の切断に至った例も少なからず存在する
家庭で出来る手指外傷の応急処置(基本的なもの)
1)病院受診前に自宅で出来ること
- 出血や汚染があれば、まず流水で洗いましょう。その後、滅菌ガーゼか清潔なタオルで圧迫止血します。
- 痛みが強い場合は固定する(バディテーピング、副え木など)
- 爪や指の一部が取れてしまった場合、必ず病院へ持参しましょう
- 現場や対象物の記録を残しましょう:写真など
2)専門施設での治療が必要となる場合
- 指の一部が切断されてしまっている、もしくはそれに近い状態
- 骨の一部が見えてしまっている
- 出血のコントロールが出来ない
3)急いで病院を受診しなくても良い目安
- 子どもが患部をそれほど痛がらない
- 自分で指を曲げられる
- あまり腫れていない
- 患部が変形していない
子どもの手指外傷の特徴と応急処置の原則について触れました。
そもそも、家庭内で出来る子どもの事故は予防できることが多いため、普段から事故予防を心掛けておくと良いと思います。 (小児科 土谷)