院長先生のブログ
乳幼児の喘息って治ります?
喘息で慢性外来に通院中の保護者の方から、よく質問される内容です。今回はこれに関する話題です。
乳幼児期の喘鳴パターンには臨床的に幾つかのタイプがあることが分かっています(Arch Dis Child
. 2005 Aug;90(8):826-31. doi: 10.1136/adc.2004.053280.)。
Improving the management of atopic disease | Archives of Disease in Childhood (bmj.com)
すなわち、①一過性の初期喘鳴群、②非アトピー型喘鳴群、③IgE関連喘鳴/喘息群の3タイプです。
現時点では、乳児期の喘鳴、上図の一過性の初期喘鳴群に相当する群が、その後治癒するのか?喘鳴が続くのかを確実に予想することは困難です。低年齢のお子さんの気道炎症や呼吸機能検査を実施することが難しいこと、加えて、Asthma Predictive Index(下表;Am J Respir Crit Care Med. 2000 Oct;162(4 Pt 1):1403-6. doi: 10.1164/ajrccm.162.4.9912111.)が簡便であることから、世界的に喘息予測インデックスとして使用されていますが、残念ながら、異なる集団では違う結果になり得ること、予想が外れることも多々あることが分かっています。
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- 大基準1以上+繰り返す喘鳴:76%
- 小基準2以上+少なくとも一度の喘鳴:59%
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乳児の一過性喘鳴がその後喘息に移行するかどうか、現時点で正確に断言することは困難です。
外来で経過を見ながら、総合的に判断する形にならざるを得ませんので、ご了承願います。 (小児科 土谷)