院長先生のブログ
シイタケ皮膚炎
NEJM(N Engl J Med. 2023 Oct 12;389(15):1415. )の症例です。
72歳の男性(スイス人)が2日前から背中に発疹が出現したため救急外来を受診しました。
かゆみは強く睡眠を妨げるほど。発疹出現の2日前にシイタケを含む料理を作って食べていました。背中全体と臀部上部に浮腫状のムチを打ったような線状の紅斑(edematous, flagellate plaques and linear patches)が認められ、リンパ節腫大や皮膚描記症や粘膜病変は認められませんでした。
食事歴などからシイタケ皮膚炎と診断され、グルココルチコイド外用薬と抗ヒスタミン薬内服が行われ、2週間後には色素沈着が残存したものの、掻痒感は改善しました。
シイタケ皮膚炎は1974年に初めて日本で報告された疾患です。
生もしくは加熱不十分なシイタケを摂取した後、数時間から数日後に発症する皮膚炎です。バーベキューなど、焼いたときに多く、煮たシイタケでは発症しない模様。
筋(すじ)のついた発疹(streaky rash)、ないしムチを打ったような紅斑(flagellate erythema)といった特徴的な皮膚所見が認められます。診断は食事歴が決め手。シイタケに含まれるレンチナン(lentinan)という多糖体が炎症性サイトカインIL-1を誘導して線状皮膚炎を引き起こすみたいです。
皮膚科では大変有名な疾患で、4月に最も多く、次いで3月、5月に多いようです。
他の月の発症は比較的少ないという季節性があるの面白いですねw
Shiitake (Lentinus edodes) dermatitis – Nakamura – 1992 – Contact Dermatitis – Wiley Online Library
とにかく、生焼けのシイタケには注意しましょう! (小児科 土谷)