院長先生のブログ
喘息の一次予防④
妊娠中の母親の適切な喘息治療が、子どもの喘息発症予防に有効かもしれません。
子どもの喘息が妊娠中の母親の喘息の重症度やコントロールによって、どの程度影響を受けるか調べた研究です。
〔方法〕
デンマークの国家レジスターを使用して、単生児67万5379人のコホートを構築しました。そのうち15014人が喘息のある母親から出生し、7188人が妊娠中の活動性喘息の母親から出生していました。
活動性喘息の母を4群(コントロールされた軽症喘息、コントロールされていない軽症喘息、コントロールされている中等症~重症喘息、コントロールされていない中等症~重症喘息)分類し、アウトカムは子どもの早期発症一過性喘息、早期発症持続型喘息、遅発型喘息としました。95%CIのある対数二項モデルを用いて、喘息の各フェノタイプの罹患率(PR)を推定しました。
〔結果〕
コントロールされた軽症喘息の母から出生した子どもと比較して、コントロールされていない軽症喘息(PR, 1.19; 95% CI, 1.05-1.35)、コントロールされている中等症~重症喘息(PR, 1.33; 95% CI, 1.09-1.63)、コントロールされていない中等症~重症喘息(PR, 1.37; 95% CI, 1.17-1.61)の母から出生した子どもは早期発症持続型喘息の発症リスクが高いことが分かりました。
母のコントロールされていない喘息は子どもの早期発症持続型喘息の発症リスクを高めるようです。妊娠中に適切な喘息コントロールを行うことは、お母さん自身のためだけでなく、子どもにとっても良い可能性があります。 (小児科 土谷)