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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

ポップコーンによる子どもの窒息

ポップコーンは比較的噛みやすいお菓子であることから、映画館や商業施設のゲームセンターなどで子ども向けにも販売されており、馴染み深く、安全と思われる方も多いかもしれません。

ご存じの方も多いと思いますが、日本小児科学会傷害速報に、「未破裂ポップコーンの誤嚥による窒息」事例があったので紹介します。

未破裂コーンの誤嚥による窒息(jpeds.or.jp)

 

2022年12月に大型商業施設のゲームセンターに両親と訪れた1歳9か月の女児に起こった事故です。

〔医療機関受診までの経過〕

午後 4 時 30 分、大型商業施設のポップコーン製造自動販売機からポップコーンを購入した。ポップコーンが入った容器を本児自身が持ち、ショッピングカートに乗りながら自由に摂取していた。両親ともに本児を常時見ていなかった。午後 4 時 40 分、ポップコーンの大部分を摂取したため、女児は容器の底に残っていたポップコーンを食べようと容器を傾け一気に摂取した。その直後に本児がむせ込んだため、母親が本児の背部を叩打した。本児は未破裂コーンを数個吐き出したが、間もなく顔色不良となり全身脱力し、反応が消失した。通りがかりの一般人により CPR が開始され、1 分後に反応が出現し救急要請となった。

〔医療機関受診後の経過〕

蘇生から約 1 時間後に医療機関に到着した。到着時のバイタルサインは体温 36.5℃、心拍数172 bpm、血圧 90/27 mmHg、呼吸数 20~30/分程度、SpO2 99%(酸素マスク 8 L/分投与)、GCS E4V2M2 計 8 点であった。静脈血液ガス:pH 7.103,pCO2 74.8 mmHg,HCO3-17.7 と著明な呼吸性アシドーシスを認めた。気管挿管を実施後も、右胸郭の動きは不良であったが、ETCO2 50 mmHg 台に落ち着いた。胸部 CT にて右主気管支に 6 mm 程度の異物を認めたため、気管支鏡検査を施行した。気管支鏡検査にて右主気管支に未破裂コーンを確認し、バスケットカテーテル等で摘出を行った。摘出後は心停止後症候群として5日間ICUにて全身管理を行い、その後一般病床でリハビリテーションを行った。徐々に発語と粗大運動の回復がみられ、退院前には病前と同様の様子に戻っていた。X+13 日に後遺症なく退院となった。

 

今回、日本小児科学会では過去にも同様の誤えん事故が報告されていることを紹介し、「4歳未満の子どもにはポップコーンを与えないこと」を推奨しています。大人でもお菓子のカップ等を傾けると異物を誤えんすることがあるため、少なくとも未破裂コーンは取り除いておくことが望ましいと思います。

ポップコーン以外にも、いろいろな食べものが窒息のリスクを持っています。

食品による窒息 子どもを守るためにできること|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY (jpeds.or.jp)

 

窒息しやすい形や性質として、「弾力があるもの、つるっとしたもの、丸いもの、粘着性が高いもの、固いもの」といった特徴があるので、該当するものは要注意です! (小児科 土谷)

 

 

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