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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

風邪はいつになったら落ち着きますか?

お子さんが保育所に通所するようになると、お子さんが風邪に罹患する頻度が増えることがあります。そんな時、この「風邪の繰り返し」はいつまで続くのだろう?と不安になられる方もいると思います。個人差もあるので明言することはできませんが、それに関連した論文(BMJ Open. 2017 Sep 5;7(9):e014635. doi: 10.1136/bmjopen-2016-014635.)を紹介します(2017年の論文なので、既にご存じの方は読み飛ばして頂いて構いません)。

 

乳幼児における呼吸器感染症の負担を集団保育の開始に関連し検討した縦断的前向き出生コホート研究です。呼吸器感染症と保育方法に関する日誌データを収集するために、1827人の子どもを生後24か月まで追跡調査のためにリクルートしています。継続的な保育方法と完全なデータのある子どもを、施設による集団保育群299人、家による集団保育(FDC)群245人、家庭による保育群350人の3つのグループに分け、反復測定分散分析を用いて、デイケア開始前6か月と開始後9か月に、呼吸器感染症の症状があった1か月あたりの日数、抗生剤による治療、親の欠勤について解析しています。

 

呼吸器感染症の症状があった平均日数は、施設による集団保育開始前1か月の3.79日(95%Cl 3.04-4.53)から、施設による集団開始2か月後の10.57日(95%Cl 9.35-11.79)へと増加し、その後9か月で減少しました(通所数か月で増加し、その後9か月程度でベースラインに落ち着いていくというパターン)。このパターンは抗生物質の使用量、保護者の欠勤日数でも同様でした(他と異なり、保護者の欠勤日数は完全にベースラインまで戻らない)。

以上より、集団保育開始後は、呼吸器感染症に罹患する頻度は急激に増加するものの、保育を続けると時間経過とともに徐々に減少していくことが分かりました(その期間は概ね9か月程度と推察される)。「風邪の繰り返し」はずっと続く訳ではないことだけでも覚えておいて下さいね。

そして、保護者の欠勤日数は減少に転ずるものの、完全にベースラインに戻っていないことから、保護者の欠勤の要因は「子どもの風邪」だけではないことが推察されます。奇しくも、「育休」に関する話題が最近までニュースを賑わせていましたが、子育て世代のサポートがいろんな面で大切であることを間接的に示している論文だと思いました。 (小児科 土谷)

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