院長先生のブログ
子どもはいつから善悪の判断ができるの?
最近、暴れん坊将軍や水戸黄門といった時代劇を地上波TVで見る機会が減ってしまい、こういう見ててスッキリする勧善懲悪系時代劇が子どもの頃に好きだった自分としては残念な思いです。
子どもの頃を振り返るとTVの前の自分は、「悪代官」を「悪」と、正義のヒーローであるマツケン将軍や黄門様を「正義(正しい)」ときちんと認識できていた訳で、それが将軍スゲー、助さん・角さんカッコイイーの羨望の眼差しに繋がっていたはずですw
そこでひとつ疑問が沸きます。
子どもの「善と悪を見分ける力」はいつから備わるのかという疑問です。
今朝はそれに関連した論文(Nature. 2007 Nov 22;450(7169):557-9. doi: 10.1038/nature06288.)を調べてみました。ちょっと古めの論文ですが、お付き合いください。
方法:
- この実験に参加した生後6か月の乳児16人と、生後10か月の乳児12人に映像を見せます。
映像には、坂を登ろうとするキャラクターに対し、助けてくれるキャラクターと、邪魔するキャラクターが登場します。 - 子どもがどのキャラクターを気に入るか、評価します。「子どもは気に入ったキャラクターを手に取る」という前提で評価しています。
結果
6か月乳児16人中14人が、赤〇くんを助けてくれる青▢くんを気に入りました。
10か月乳児12人中12人が、同様に青▢くんを気に入りました。
乳児が「物を押し上げることが単純に好き」という可能性を除外するために、赤〇くんから目を外して、ただの赤い丸にし、坂の中央に置き、青▢くんが押し上げたり、黄色△くんが押し下げたりする実験を追加しました。この結果、生後6か月/10か月の乳児、青▢くんと黄色△くんとの評価に差がなくなりました。要するに、乳児が「物を押し上げることが単純に好き」というわけでは無いという結果でした。
以上から、子どもは生後6か月の時点で「誰かを助ける人」を善人と認識して好み、「誰かの邪魔をする人」を悪人と認識し、嫌うみたいです(子どもは生後6か月から善悪を判断できる)。
子どもたちは、我々大人が思うよりも大人をよく見ています。
子どもの手本となれるよう、「正しい」ことを心掛けようと改めて思った朝でしたw
それにしても、時代劇もっと地上波で流してくれないかな~ (小児科 土谷)