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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

離乳食の安全を考える

先日、保育施設でリンゴを詰まらせて窒息してしまったとみられる事故報道されていました。

(詳報)6カ月女児死亡、食物誤嚥で窒息か 保育園のリンゴすったおろし器には7、8ミリの穴(南日本新聞) – Yahoo!ニュース

リンゴに限らず、乳児が口にするものは窒息するリスクが常に存在するため、これから離乳食をどう進めればよいか、不安を感じた方もいらっしゃったと思います。

今日は改めて、離乳食などに使われる食材のリスクを整理し、窒息の予防について考えていきたいと思います。

 

食べ物が原因の窒息は「5歳未満」で多い

食べ物が原因の窒息は珍しくありません。
特に低年齢児に多いことが分かっています。日本小児科学会の傷害速報では「気道閉塞を生じた食物の誤嚥」による死亡リスクは5歳未満が高いと記載されています。

乳幼児はそもそも喉に食べ物が詰まりやすい

一番の理由は、乳幼児の気道直径が約1センチと、成人(約2センチ)よりも小さいことです(小さな異物でも詰まりやすい)。さらに、咳の反射も弱いこと(詰まったものを外に排出しにくい)、歯が生えそろっておらず咬む力も弱いことも、乳幼児が誤嚥のしやすいことに拍車をかけます。

以上を踏まえて、月齢に応じて食べさせ方や食材を工夫しなければなりません。これに関して、内閣府の発表している「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kyouiku_hoiku/pdf/guideline1.pdf)」は大変良くまとまっており、家庭でも参考になるので、時間のある方はご覧になってみてください。

誤嚥・窒息につながりやすい食材について

残念ながら、どんな食べ物でも窒息のリスクはあります。100%安全なものはありません。
特に窒息のリスクが高いものがあるので、注意しましょう。
① 弾力があるもの → こんにゃく、きのこ、練り製品 など
② なめらかなもの → 熟れた柿やメロン、豆類 など
③ 球形のもの → プチトマト、乾いた豆類 など
④ 粘着性が高いもの → 餅、白玉団子、ごはん など
⑤ 固いもの → かたまり肉、えび、いか など
⑥ 唾液を吸うもの → パン、ゆで卵、さつま芋 など
⑦ 口の中でばらばらになりやすいもの → ブロッコリー、ひき肉 など

また、大きさとしては、球形の場合は直径4.5㎝以下、球形でない場合は直径3.8㎝以下の食物が危険だとされています。一方、大きさが1㎝程度のものであっても、子ども年齢によっては、十分に食品をすりつぶすことができない場合があるので、十分注意が必要です。

 

給食での使用を避ける食材

0-1歳児クラスは提供を避ける食材(咀嚼機能が未熟)

調理や切り方を工夫する食材

食べさせる時に特に配慮が必要な食材

果物について


子どもの見守りも大切です

 

離乳食が進み、手づかみ食べが始まると、子どもは自分で口にたくさん入れてしまいます。保護者やスタッフが見守りながら量をコントロールしたり、よく噛むよう促したりすることが必要です。周囲の大人がゆっくり噛む様子を見せたり、飲み込めないものは口から吐き出せるか・一口ごとに飲み込んでいるか等を確認したりすることも重要です。

ポイントは
1.食べることに集中させる
2.姿勢を整える
3.水分を取ってのどを潤してから食べさせる
4.食べやすい大きさに切っておく
5.一度に詰め込み過ぎない             などです。


これまで述べてきた対応を組み合わせて行うことで、窒息のリスクを下げることができますが、100%安全な訳ではありません。十分に気をつけていても、残念ながら窒息事故をおこしてしまうことがあります。事故が起きた後の対応はまた後日紹介します。 (小児科 土谷)

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