院長先生のブログ
失われた名画
最近、クリムト関する記事を雑誌で目にする機会があったので、今日はクリムトに関連した話題です。話の内容は全く医療ネタと関係ありません。思ったことをダラダラ書いているだけですので、ご容赦くださいw
グスタフ・クリムトは1894年にウィーン大学の天井画の制作注文を受け、「哲学」「医学」「法学」の3作品を描きましたが、彼の描いたこれらの絵は「退廃的」とされて大論争を巻き起こしました。しかも、国を揺るがすほどの大論争(笑)。あまりの論争の大きさから、彼は契約を破棄して報酬も返還してしまいます。
その後、3枚の作品「哲学」「医学」「法学」は美術館や個人に売却されましたが、第二次世界大戦が始まると、ナチスによって没収されてしまい、敗色濃厚なナチスドイツの手によって、インメルドルフ城とともに爆破され焼失してしまいました(1945年)。
この3枚の作品に関する記録は、残念ながら白黒写真しか残っていませんが、後のクリムトの作品の特徴である「狂気」と「エロティシズム」、それに彼のテーマとも言える「生」「愛」「死」をうかがい知ることが出来ます。
先の白黒写真と「医学」のための習作が残されていたことから、「おそらく、こんな感じだったろう」と部分だけど彩色された絵はこちら。
蛇遣いの女はこのような色彩であったのでしょう、赤と金が華やかです。
焼失せず、残されていたら是非見てみたかったです!
それにしても、戦争の破壊行為ゆるすまじ!! 美術作品に罪なしです。 (小児科 土谷)