院長先生のブログ
long COVID 画像編⑤
long COVID 画像編④の続きです。
嗅覚伝導路の異常信号はパンデミック当初から報告されていました。
1)25歳 放射線技師
*無臭覚症発症後1日後のMRI所見:ウイルスの臭球と直回への侵入(JAMA Neurol. 2020 Aug 1;77(8):1028-1029.)
2)96歳 女性:発熱と全身けいれんで入院。入院2日前から臭覚消失、意識障害、行動異常あり
*直回、前帯状回、第一前頭回極部、梨状皮質、扁桃体、前部海馬に異常信号(Neurology. 2021 Jan 26;96(4):e645-e646.)
以上より、嗅球から眼窩前頭皮質までの嗅覚伝導路にウイルス感染や炎症の伝播が生じる可能性があることが分かっています。
認知症発症の危険因子として、持続的な臭覚障害がありますが、その神経後遺症の機序としてSARS-Cov-2ウイルスが臭覚伝導路を伝播した結果生じる眼窩前頭皮質等の障害が注目されています。 (小児科 土谷)