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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

重度の肥満者ではCOVID-19ワクチンによる液性免疫の減退が加速されてしまう

COVID-19ワクチン接種による重症化リスク低減効果は肥満者に対しても有効なのかを検討した論文(Nat Med (2023).(doi.org/10.1038/s41591-023-02343-2))を紹介します。

 

スコットランドの360万人を対象に、肥満度(BMI)とCOVID-19による入院、死亡の関係を調査しました。まず重度肥満(BMI > 40 kg/m2)を認めるワクチン接種者は、入院または死亡する可能性が76%高いことが分かりました(調整済み率比 1.76)。

さらに、重度肥満28人と正常BMI(18.5~24.9 kg/m2)の対照41人を比較した前向き縦断研究を実施しました。2回目のワクチン接種から6カ月後、SARS-CoV-2ウイルスに対する中和抗体を測定できない人の頻度は、正常BMIでは12%であったのに対して、重度肥満で55%と多いことがわかりました(P = 0.0003)。また、重度肥満者ではウイルス中和能力が正常BMIの人よりも低中く、中和能力はブースター接種で回復したものの、重症肥満者では再び急速に低下しました。

以上から、重度肥満者ではCOVID-19ワクチンによる液性免疫の減退が加速することが分かりました。

 

肥満はCOVID-19による重症化や死亡の危険因子でもあるため、肥満者のワクチン接種のスケジュールを再考する必要があるものと思われます(なかなか一度決まった接種スケジュールを変更することは出来ないと思いますが)。 (小児科 土谷)

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