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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

子宮頸がんファクトシート -ワクチン編③-

昨日に引き続き、子宮頸がんファクトシートを読み解いていきます。

子宮頸がんファクトシート | がん対策研究所 (ncc.go.jp)

 

接種後の「疼痛または運動障害を中心とする多様な症状」は何だったのか?

2019年以降、世界保健機関(WHO)は、ワクチン接種後に認められる「機能性身体症状」に関連して、予防接種ストレス関連反応(以下、ISRR:Immunization stress-related responses)という概念を提唱し、医療従事者などが見過ごさないよう呼びかけています。

このISRRの特徴は、ワクチンの種類には関係なく、ワクチン接種への不安や、注射針への恐怖や痛みなどにより、接種の前後に過呼吸やめまい、痛み、不随意運動、しびれ、手足の動かしにくさなどを起こすことで、現在、HPVワクチン接種後に訴えられた多様な症状の多くはこれにあたるのではないかと考えられています。

ISRRには、接種前や接種中、接種後5分未満に起こる「急性反応」と、接種後数日してから起こる「遅発性反応」があるとされています(下図)。

遅発性反応には脱力、麻痺、異常な動きや四肢の姿勢、言語障害、非てんかん発作などの「解離性神経症状反応(Dissociative Neurological Symptom Reaction:DNSR)があげられ、さらに、長期間続く痛みや不安などは、身体を動かさないことによる二次性の廃用症候群や抑うつ、治療依存などの問題を生じさせ、単純な生物学的メカニズムで説明のつかない多様な症状を作りだすことがあるとされています。このISRRは、あらゆる年代で接種される全てのワクチンによって生じる可能性があります。

 

このISRRはその個人の年齢やBody Mass Indexといった「生物学的要素」、針への恐怖やワクチンに対する不安といった「精神心理学的要素」、友達やマスメディアからのネガティブな情報や目撃といった「社会的要素」が複雑にからみあって成り立つという生物心理社会モデルが提唱されています。

これら3つの要素は、接種前(素因)、接種時(誘発因子)、接種後(長期化させる因子)、それぞれの段階で作用し合います。ワクチンの接種にあたっては、事前に我々医療従事者がこれらについて十分に理解し、必要に応じて接種時の不安を軽減させるような環境調整やコミュニケーションを行うことで、
ワクチン接種後の「機能性身体症状」の発生予防やコントロールに努めることが重要と考えられています。

 

複数回にわたって、子宮頸がんファクトシートの一部を抜粋して紹介させて頂きました。

子宮頸がんが他のがんと大きく違う点は、HPV感染がなければほぼ発生しないがんであるということです(感染を防ぐことでほぼ全ての子宮頸がんを予防できる)。ワクチン接種と検診を組み合わせることで、撲滅可能な「がん」なのです。この大切な事実を改めて皆さんに知ってもらいたいと思いました。

 

是非、時間のあるときに子宮頸がんファクトシートを一読してください。 (小児科 土谷)

子宮頸がんファクトシート | がん対策研究所 (ncc.go.jp)

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