メニュー

   

お電話

見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

ブレインフォグ

ブレインフォグはlong COVIDの代名詞のような症状のひとつですが、この言葉は以前から使用されてきた医学用語ではなく、SNSなどで患者さんから発信され定着したものと思われます。

今日はこの「ブレインフォグ」という言葉の実態に関する論文(J Neurol Neurosurg Psychiat 2023;94:321-325.)です。

 

2021年10月の1週間、掲示板型ソーシャルニュースサイトである「Reddit」から「brain fog」を含む投稿を抽出しました。その結果、1663件の投稿が確認され、うち717件が解析の対象になりました。一人称で自分の症状を書いていたのは141件で、内訳は多い順に、健忘(51件)、集中力低下(43件)、解離現象(本来一つにまとまり繋がっている意識や記憶、知覚、アイデンティティが一時的に失われた状態)(34件)、認知の遅延に対する過剰な努力(26件)、コミュニケーション障害(22件)、頭がぼーっとする(10件)、疲労(9件)など、症状の重なりも認められました。50%の投稿は病気や疾患に関する投稿欄にあり、COVID-19(87件)だけでなく、精神疾患、神経発達障害、自己免疫疾患、機能性障害、薬物使用・中断などの欄に記載されていました(ブレインフォグはCOVID-19以外のさまざまなもので生じ得る)。

下図は結果をまとめたものです。

以上から、ブレインフォグには健忘、集中力低下、解離現象、過剰な認知的努力、コミュニケーション障害、疲労などの多彩な症状が含まれており、今までにない「異質な体験」を表現するための便利な言葉として使用されていると考えられました。

 

ブレインフォグという言葉は、カルテを記載する際に大変便利ですが、曖昧な表現で済まさずに、症状を問診できちんと聴取して記載することを疎かにしてはいけないなっと思いました(反省)。 (小児科 土谷)

この記事をシェアする