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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

long COVIDの病態 -持続感染④-

同じジャンルは続けて読むと楽なので、横着して今日も同じ「持続感染」に関する話題です。

 

PCR陰性でもウイルスは長期に肺の特定の細胞で持続感染している

鼻咽頭ぬぐい液や肺胞洗浄液で連続11〜300日(平均105.5日)PCR陰性ながら病状が進行した27症例の剖検を解析した(3例は9カ月以上、PCR陰性)論文です(J Pathol. Jan 18, 2023(doi.org/10.1002/path.6035))。

*23/27例(81%)で間質性肺炎が認められ、13例(47%)で広範な線維化が認められました。
*ウイルス学的寛解が見られたものの、肺病理はCOVID-19急性期患者に見られたものと同様でした
*スパイクおよびヌクレオキャプシド蛋白の検索では、気管支軟骨細胞および気管支腺上皮細胞への感染が高頻度(70%)に認められました。少数の患者(19%)では、血管周皮細胞や内皮細胞でも陽性でした。
*組織溶解液の定量的RT-PCRにより、ウイルスRNAの存在が確認されました

 

以上から、SARS-CoV-2感染は標準的なPCR陰性検査で示唆されるよりもかなり長く持続し、肺の特定の細胞に感染している可能性が示唆されました

 

swabサンプルで評価したウイルスの持続感染はlong COVIDと関連性あり

プレプリント論文(medRxic Jan 30, 2023.(doi.org/10.1101/2023.01.29.23285160))なので、参考までに。

*10万以上の咽頭ぬぐい液等のswabサンプルから30日以上持続感染する381人の感染者を見出し、うち54人は60日以上持続していることを確認しました。

*これらの持続感染者は、非持続の感染者と比較して、long COVIDを申告する率が50%以上高かった

*計算上、感染者の0.09〜0.5%が、少なくとも60日間持続するものと推定された

*持続感染の70%近くでは、ウイルス配列のコンセンサス変化がない期間が長く、非複製ウイルスが長期にわたって認められることと一致した → 同じ系統のウイルスに再感染することは稀なので、多くの持続感染症は、ウイルス動態の再燃によるものと思われる

SARS-CoV-2の「持続感染」については、他にもこれを示唆する論文が出ているので、後日紹介します。 (小児科 土谷)

 

 

 

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