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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

サイトカインと認知機能障害

昨日の内容の中で、long COVIDにおけるサイトカイン・ケモカインの関与について触れました。

それに関連して、SARS-CoV-2ウイルス感染後の神経精神症状のメカニズムを動物モデル,ヒト剖検脳を用いて病理学的に検討した論文(Soung AL, et al. Brain, 2022;, awac270(doi.org/10.1093/brain/awac270))を紹介します。

 

SARS-CoV-2ウイルスを鼻腔内感染させたハムスターを用いて、血液脳関門の透過性が亢進(=破綻)しているにもかかわらず、ウイルスは脳実質には認めず、脳内に侵入していないことを示しました。

血液脳関門の透過性亢進の原因として、IFNγおよびIL-6が原因であるという仮説をたて、感染ハムスターおよびCOVID-19で死亡した患者を対照と比較したところ、海馬と延髄でIL-1βとIL-6の発現、およびミクログリアの活性化を見出しました。

海馬での抗神経新生作用があるIL-6とIL-1βに関して、感染ハムスターとヒトの海馬歯状回を検討した結果、増殖マーカーであるKi67と神経芽細胞や未熟な神経細胞のマーカーであるDCX(ダブルコルチン)を発現する細胞数が減少し、神経新生が抑制されていました。

以上から、サイトカイン発現→血液脳関門破綻→サイトカインや免疫細胞の脳への侵入→ミクログリア活性化+神経新生障害→神経精神症状というパスウェイが推測され、海馬の障害はCOVID-19患者の学習、記憶、遂行機能障害を説明できる可能性が示唆されました。

 

他にも、ブレインフォグ・認知症などの神経・精神症状におけるサイトカインの重要性を示唆する論文(Brain, awac270, https://doi.org/10.1093/brain/awac270)があるだけでなく、アルツハイマー病のリスク増加にも関与しているとする論文(Transl Neurodegener.2022 Sep11;11(1):40)もあります。

色々とメカニズムが分かってきたものの、SARS-CoV-2ウイルスは、つくづく嫌らしいウイルスだなーっと思い知らされますね。。 (小児科 土谷)

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