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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

睡眠時間と肥満の関連性

2歳までの小児における短い睡眠時間と、のちの過体重(肥満)との関連性について解析した前向き研究(J Pediatr 2019; 212: 13-9)を紹介します。

 

2011年4月~2017年12月までの間に、フィンランドで行われた集団ベース前向き縦断研究(CHILD-SLEEP birth cohort)です。フィンランドのTampereから1679の家族が参加し、両親は子供が出生前と生後3, 8, 18, 24か月の時に質問票に回答しています。児に先天奇形, 発達障害, 代謝障害, 成長や睡眠に影響を与えるその他の状態がある場合には研究から除外されました。

 

経過観察中、それぞれの児の月齢ごとに以下の数を分析しています。
  生後3か月:1397 (97.2%)
  生後8か月:1277 (88.9%)
  生後18か月:1088 (75.7%)
  生後24か月:889 (61.9%)


客観的な睡眠の情報を得るために350人では生後8か月でアクチグラフ(対象者の活動量を単位時間ごとに測定することで睡眠覚醒の状況を知る)を用いた分析も行いました。児の成長のデータは診療所の記録から集め、睡眠時間とのちの過体重との関連性を調べるためロジスティック回帰モデルを用いました。

 

月・年齢ごとの小児の一般的な正常な睡眠時間の定義

月・年齢ごとの正常な睡眠時間の定義は存在しておらず、フィンランド人での睡眠時間の参考データもない。そのため、もっとも低い四分位数をカットオフ値として短い睡眠時間と正常もしくは長い睡眠時間とを区別した。年齢毎のカットオフ値は、生後3か月で13.0時間、生後8か月で12.5時間、生後18か月で 11.8時間、生後24か月: 11.4時間であった。

生後3か月での睡眠時間がより短いことは身長あたりの体重が軽いこと、BMIがより低いことと関連していました。また、生後3か月での短い睡眠時間は生後24か月での過体重のリスク上昇とも関連しており、生後3か月から24か月間での体重増加が過剰となるリスクも上昇していました。

アクチグラフで測定した夜間の睡眠時間が短い児(生後8か月)は生後24か月での過体重のリスク上昇と関連していました。

女児、 出生時体重がより重い、妊娠早期での母のBMIがより高い、妊娠中の母の喫煙〕の因子は生後24か月での過体重のリスク上昇と関連していました。

 

以上から、生後3か月での睡眠時間が短いこと、生後8か月での夜間の睡眠時間が短いことは、生後24か月での過体重のリスク上昇と関連している可能性があることが分かりました。

 

24か月時の過体重が一過性のものであり、のちのリスクに繋がらないかもしれませんが、若年小児を対象としたデータが少ないこともあり、今回紹介させて頂きました。 (小児科 土谷)

 

 

 

 

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