院長先生のブログ
COVID-19 小児編③

今日は小児・若年者のCOVID-19に関する話題です。
米国マサチューセッツ州で、デルタ株期と初期のオミクロン株期の超過死亡数(想定される死亡数の取りうる値を超過した死亡数)を比較した研究(JAMA. Published online May 20, 2022. )を紹介します。
この研究では、23週間のデルタ株期には1975件の超過死亡が発生したのに対し、移行期を挟んで8週間のオミクロン株期には2294件の超過死亡が発生していました。そして、1週間当たりの超過死亡率比は3.34で、高年齢層での超過死亡は多かったものの、若年層を含むすべての成人年齢層で超過死亡がみられていました。これは、感染致死率の低下をはるかに上回る高い感染率を反映したものと思われます。
以上から、オミクロン株はワクチン接種で免疫力が高まっている集団においても、かなりの超過死亡率を引き起こすことが分かりました。
要するに、「数は力」ということで、感染者が増えれば重症化リスクが低くても重症者は増加するということです。感染症流行情報には十分注意を払い、状況に応じた感染対策を徹底しましょう。 (小児科 土谷)