院長先生のブログ
COVID-19 小児編④
今日は「致死率だけを見ていると、全体像を見誤る」良い例を紹介します。
南アフリカ(65才以上の高齢者が全体のわずか6.3%)からの報告(Nat Rev Immunol. 2022 May;22(5):267-269.)です。
デルタ株流行時よりも、オミクロン流行時に感染者が大きく増加したことが分かっており、公的な報告数ではオミクロン株流行時ではデルタの2倍、推測値では5倍感染者が多かった模様です。
そこで、致死率を見ると、報告感染者数に基づいた割合ではオミクロンはデルタの2分の1、推定感染者数に基づいた割合ではデルタの5分の1で0.2%以下と、オミクロン株ではデルタ株よりも致死率が非常に低くなっていることが分かりました。
しかし、実際の死者数を見るとオミクロン株のほうがデルタ株より多いことが分かります。
致死率が低いウイルスであっても、感染者数が大きく増えると、社会全体で死者数が増えてしまうことが分かります。死者は高齢者に限らず社会的弱者で増加するので、5類相当になったとはいえ、ウイルスの本質は大きく変わっていませんので要注意です。また冬に波が来ないと嬉しいのですが。。 (小児科 土谷)