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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

COVID-19 MIS-C①

COVID-19による小児多系統炎症症候群(MIS-C)の重度神経障害の頻度・分類の変化についての論文(JAMA Neurol. 2023;80(1):91-98.)を紹介します。

 

2020年12月15日~2021年12月31日までに、米国31州にある55病院に入院した21歳未満の重症急性COVID-19あるいはMIS-C患者2,168名を対象としました。その2,168名のデータを診療録から抽出し、神経学、神経放射線学および救命救急の3名の専門家が致死的な神経学的状況および神経学的欠落症状(運動、認知、または言語機能の重大な障害)の有無について判定しました。

 

その結果、急性COVID-19あるいはMIS-C患者2,168名(男性58%・女性42%、年齢中央値10.3歳)中476名(22%)の診療録に神経障害の記載を認め、年長児や基礎疾患に神経疾患を有する患者に多く出現していました。また、けいれん発作は年少児に生じやすく、味覚・嗅覚障害は青年期に多く認められました。476名中434名(91%)は生命に寄与しない神経症状であり、最も一般的ものは疲労感、脱力感、混迷、頭痛、味覚・嗅覚障害でした。その90%が神経学的後遺症なく生存し、5%が死亡、4%が重篤な神経疾患の後遺症を残して退院しました。一方、残り42名(9%)は致死的な神経症状を呈し、その疾患別内訳は中枢神経系急性感染症/急性散在性脳脊髄炎(ADEM)23名、脳卒中11名、重度脳症5名、急性劇症脳浮腫2名、ギランバレー症候群1名でした。

致死的な神経障害を呈した患者はデルタ株流行以前と比較して、デルタ株でより多く出現していました。予後は42名中10名(24%)が退院時に新たな神経学的欠落を伴って退院、8名(19%)が死亡していました。神経障害とワクチン接種状況が確認された新型コロナワクチン接種適応患者155名中147名(95%)がワクチン未接種であり、致死的な神経障害を呈したワクチン接種適応患者でも16名中15名(94%)がワクチン未接種でした。

 

急性COVID-19あるいはMIS-Cで入院した米国の小児および青年における神経障害では、急性中枢神経感染症/ADEMが致死的症例の原因になりました。

新型コロナワクチン接種は、急性COVID-19およびMIS-Cによる入院を抑制する上で有用であり、関連する神経学的合併症を減らす可能性があります。 (小児科 土谷)

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