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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

COVID-19 MIS-C②

小児の多系統炎症症候群(MIS-C)の原因に関する論文(Science. 2022 Dec 20:eabo3627.)を紹介します。

 

細胞内にはウイルス侵入を感知する複数のセンサー系があり、その一つがOAS-2-5A-Rnase系です。MIS-C患者5名でこのセンサー系を司る遺伝子異常(常染色体劣性遺伝)が見つかりました。この異常により、ウイルスの侵入により炎症性サイトカインが大量に産生され、食細胞やT細胞系の機能異常が起こった結果、多くの臓器で強い炎症が起こり、重篤な帰結をもたらすとされています。

フランスを中心とする国際研究で、MIS-Cを発症した5人の血縁関係のない小児においてOAS1、OAS2、RNASEL遺伝子の常染色体潜性変異を同定しました。
このOAS1とOAS2は細胞質で二本鎖RNAを感知し、二本鎖RNAを分解するRNase Lを活性化する2-5′-結合オリゴアデニル酸(2-5A)を生成する分子で、これらのいずれかを欠損した単核球細胞や骨髄細胞は二本鎖RNAやSARS-CoV-2ウイルスの刺激で、炎症性サイトカインを過剰に産生しました。OASやRNase Lの欠損はSARS-CoV-2感染を契機とするMAVS(感染RNAウイルスを検知するミトコンドリアのシステム)を介した過剰な炎症性サイトカイン生成をもたらし、MIS-Cを引き起こすものと考えられました。

 

小児の多系統炎症症候群の原因遺伝子が複数同定されました。全てではないにせよ、いろいろとメカニズムが分かってきましたね。 (小児科 土谷)

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