MIS-Cにおける心臓伝導系障害について検討した論文（Pediatrics (2020) 146 (6): e2020009738.）を紹介します。

NewYork-Presbyterian Morgan Stanley Children’s Hospitalを受診した21歳未満のMIS-C患者を対象とした後ろ向き研究で、MIS-Cの診断はCDCの基準を用いました。心電図は入院時にルーティンに検査されています。

その結果、32人の患者のうち6人（19%）で入院中にI度房室ブロック（AVB）が認められました。
I度AVBは発症後8日（中央値, 範囲5-10日）で認められ、1人を除いては3日（中央値, 範囲1-5日）でみられなくなりました。このI度AVBがみられた患者だけでなく、認められなかった患者でも複数の心電図異常が観察されましたが、臨床的に大きな問題はありませんでした。I度AVBは他の臨床的所見と関連性は認められませんでした。

以上から、MIS-CではI度AVBが一時的にみられることはあるが、重度の伝導障害に進展した小児はおらず、明らかな臨床的問題につながった症例も認められませんでした。

今回の論文の分析対象が32人と多くないこともあり、症例数が増えると臨床的に問題となりえる心電図異常が認められるケースもあるかもしれません。MIS-Cの急性期は注意深く心電図モニタリングをした方が良さそうですねｗ　（小児科　土谷）