院長先生のブログ
long COVIDの診断するためのPASCスコア
これまで、ときどきlong COVIDについて触れてきました。
long COVID、もしくは PASC(post-acute sequelae of SARS-CoV-2)に特徴的な症状を見つけ出し、診断のためのスコアを作ること、ワクチン接種や感染回数がPASCに及ぼす影響について検討した論文(JAMA. May 25, 2023.(doi.org/10.1001/jama.2023.8823))を紹介します。
NIHが主導するRECOVER研究の第一弾となる大規模前向き観察コホート研究です。
9764人の参加者が選択基準を満たし、初感染後30日以内に登録された2231人のうち、6カ月後にPASCと診断されたのは224人(10%)でした。
その結果、感染者と非感染者を比較し、調整オッズ比1.5以上となったのは37の症状でした。
そして、PASCスコアに採用された症状は、労作後倦怠感、疲労、ブレインフォグ、めまい、胃腸症状、動悸、性的欲求・能力の変化、嗅覚・味覚障害、口渇、慢性咳嗽、胸痛、運動異常症でした。各症状に重み付けした値をつけ、その合計で算出されるPASCスコアのカットオフ値は12で、SARS-CoV-2感染者全体の23%に合致するものでした(感染既往がない人の4%がこのカットオフ値を満たした)。
この定義によるPASCはワクチン接種を受けていない参加者で頻度が高く、Omicronコホートでは複数感染者の方が1回感染者よりもPASCの頻度が高い結果でした。
スコア化していると判断しやすいので、臨床の現場でも役立ちそうですねw
とはいえ、このスコアが役立つ場面は少ない方が良いのですけど。。 (小児科 土谷)