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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

身体(からだ)が冷えると風邪をひく?

12月に入り、新潟県内は一気に寒くなってくる時期です。

これからやってくる冬にそなえて、都市伝説「身体が冷えると風邪をひく」を真面目に考えてみましょう。他人事ではないのでw

 

低温のほうが風邪ウイルスが流行しやすい?

風邪ウイルスの代表的なものは、ライノウイルスやインフルエンザウイルスですが、いずれも秋~冬にかけて流行します。きちんと証明することは難しいですが、気温の低さが関係しているのではと考えられています。

上図は中国かたの論文(Int J Environ Res Public Health. 2021 Oct 15;18(20):10846. )ですが、気象データベースとインフルエンザ発生数を解析した結果、平均気温が下がるほどインフルエンザの発生が増えることが示されています。

 

低温のほうが気道における免疫応答が弱いのか?

動物実験ですが(Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Jan 20;112(3):827-32.)、マウスの気道上皮細胞を用いて、ライノウイルス感染による反応が温度条件によって異なるのかどうか調べた結果、37度より33度のほうが免疫応答が弱いことが示されました(低温だとうまく免疫が機能しない)。

以上から、「恒温動物である人間にそのまま当てはまるか」まだ議論の余地はありますが、ウイルスにとっては低温環境のほうが過ごしやすいのかもしれません。

 

湿度も影響する可能性がある(秋~冬は乾燥する)

乾燥すると、ウイルスの比重が軽くなるのでウイルスが空気中に浮遊しやすくなります。

インフルエンザウイルスのような脂質の膜に覆われたウイルスは乾燥していても、生存することが可能です。また、湿度が低い環境では、気管支の防御機能が低下したり、炎症を修復する機能が低下したりすることも分かっています(Proc Natl Acad Sci U S A. 2019; 116(22): 10905-10910.)。

以上から、秋から冬にかけての寒い時期は(前述した温度だけでなく)湿度の低さも相まって、ウイルスに感染しやすくなるのかもしれません。

 

ということで・・・あながち、都市伝説「身体が冷えると風邪をひく」はあり得るかもですw

 

実際、温度・湿度の管理だけで感染制御することは難しいため、とにかく病原微生物を体内に入れないことが大事です。普段から手洗いやうがいなどの感染予防を心がけるとともに、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチンなどの予防接種を積極的に活用して感染を予防しましょう。 (小児科 土谷)

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