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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

クループの子どもにステロイド内服してもらってから寒い外に30分いてもらうと症状が改善する

小児のクループ症候群に対する非薬物治療法として、ミスト療法が長年使用されていましたが、実はその有効性は示されておらず現在は推奨されていませんでした。同様に、寒冷気への曝露については経験的に有益である可能性が言われていましたが、これを支持するエビデンスは乏しかったです。

 

本日はクループ症候群の流行ピーク期間に、軽度から中等度のクループ症候群の小児に対する30分間の屋外寒冷気(<10℃)曝露と室内の室温への曝露の有効性を比較した論文(Pediatrics e2023061365.https://doi.org/10.1542/peds.2023-061365)を紹介します。ちなみに、本研究ではデキサメサゾン0.6mg/kg経口投与が前提となっています。

 

今回のオープンラベル、単施設、無作為化比較試験では、クループ症候群であり、かつWestleyクループスコア(WCS)が2点以上で、小児救急を受診した生後3ヶ月から10歳の小児を登録しました。

患児は、トリアージと単回投与の経口デキサメタゾン(0.6mg/kg)投与後すぐに、屋外の寒冷(<10℃)大気への30分間の曝露か、または室内の室温への曝露のいずれかに1:1に無作為に割りつけられました。主要評価項目は30分後のWCSのベースラインからの2点以上の低下としました。

 

合計118例の患児が屋外の寒冷気(n=59)または室内の室温(n=59)への曝露に無作為に割りつけられました。

屋外群の59例のうち29例(49.2%)、室内群の59例のうち14例(23.7%)が、トリアージ後30分でWCSがベースラインから2点以上低下しました(リスク差25.4% [95%CI 7.0-43.9],P=0.007)。中等度のクループ症候群の患者が介入30分後から最も効果が大きかった(リスク差46.1% [95%CI 20.6-71.5],P<0.001)。なお、60分後の評価では両群の有意差はなくなっていました(62.7% vs 66.1%,p=0.86)。酸素飽和度に関しては寒冷気曝露群の方が30分後、60分後のいずれでも統計学的に有意に高かったが、両群とも常に98%以上であったことから臨床的意義は乏しいと思われました。

以上から、経口デキサメタゾン療法の補助として、30分間の屋外寒冷気(<10℃)へ曝露することは、特に中等度のクループ症候群の小児において臨床症状を改善させるために有益と思われます。

 

なんとまあ!とびっくりですが、治療の「引出し」を増やすうえで知っておいても損はありませんね。

夏の暑い時期は使えない手段ですけど・・。 (小児科 土谷)

 

 

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