COVID-19急性期の神経合併症に関連して、虚血性脳卒中の論文（Eur J Neurol Nov 30,2021.（doi.org/10.1111/ene.15199））です。

スイス脳卒中登録（SSR）から、COVID-19の第1波（2020年2月25日～6月8日）に脳卒中センターに入院した18歳以上の虚血性脳卒中患者全例を対象としています。調査期間中にSSRに登録された虚血性脳卒中患者2341人のうち、36人（1.5％）にCOVID-19の感染が認められ、うち33人は脳卒中発症の前後1カ月以内に感染していました。

多変量解析ではCOVID-19感染患者では、複数の血管領域に病変を持つ患者が多く（OR 2.35，p＝0.032）、潜在性脳卒中が少なかった（OR 0.37，p＝0.049）ことが分かりました。

8人（24％）の患者では、COVID-19が脳卒中の主原因である可能性が高く、12人（36％）では寄与因子・誘発因子となり、13人（40％）では脳卒中に関与していない可能性が高いと判断されました。COVID-19感染を認めた患者の機能的転帰は年齢、脳卒中の重症度、血行再建治療について調整した後も、強い影響が確認されました（PSで調整したオッズ比1.85，p = 0.07）。

以上から、COVID-19を併発する虚血性脳卒中は、多領域病変が多く（潜在性脳卒中は少ない）、機能的予後が不良であることがわかりました。　（小児科　土谷）