院長先生のブログ
COVID-19 急性期合併症⑬
昨日COVID-19に関連した血栓・塞栓症について触れたこともあり、今日は動脈塞栓、静脈塞栓の発症リスクに関する論文(JAMA. 2022;328(7):637-651. doi:10.1001/jama.2022.13072)です。
新型コロナで入院した約8万5千人(ワクチン接種前に入院した約4万1千人+接種後に入院した約4万4千人)と、インフルエンザで入院した人たち8,269人(2018~2019年)で、動脈塞栓と静脈塞栓の発症リスクに違いがあるか調査しています。
その結果、動脈塞栓症はコロナ罹患者の年齢が上がるにつれて発症リスクが高くなりましたが、ワクチン導入前後で発症リスクは変わりませんでした(インフルエンザでも同様の傾向)。一方、静脈塞栓症もコロナ罹患者の年齢が上がるにつれて発症リスクが高くなりましたが、ワクチン導入前後で発症リスクは変わらず、動脈塞栓症と同様でしたが、インフルエンザと比べて発症リスクが約2倍高かったことが分かりました。
以上から、動静脈塞栓とワクチン接種の関係は認められず、新型コロナウイルスに感染すると、発症後90日以内に静脈血栓症を発症するリスクがインフルエンザと比べて約2倍高いことが分かりました。
高齢者や高度肥満などで、血栓・塞栓症のリスクがもともと高い群がCOVID-19に罹患するのを防ぐことが肝要ですね。。(小児科 土谷)