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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

ワクチンや治療で予防可能な「感染症による癌」での経済的損失は?

癌の予防可能な発生要因をコントロールすることで、癌関連の医療費や早期死亡による生産性の損失といった間接的なコストを節約することができます。今日はこれに関連した日本の論文を紹介します(DOI: 10.35772/ghm.2023.01001)。

 

社会的観点からコントロール可能なリスク要因に起因するがんの経済的コストを評価しました。2015年の直接的な医療費の情報は、日本の健康保険請求データベースと特定健康診査から入手し、癌による早期死亡や疾病による間接的なコストは関連する国民調査を用いて推定しました。さらに、ライフスタイルと環境リスク要因と関連した癌の経済的コストの推定も実施しました。

 

その結果、癌による総経済的負担(損失)は約2兆8597億円(男性は約1兆4946億円,女性は約1兆3651億円)で、そのうち予防可能なリスク要因に起因する癌の経済的負担は約1兆240億円(男性は約6738億円,女性は約3502億円)で、男女ともに胃癌の経済的負担が最も高く(男性は約1393億円,女性は約728億円)、次いで男性は肺癌(約1276億円)、女性は子宮頸癌(約640億円)の順に高いことが分かりました。予防可能なリスク要因別の経済的負担は、「感染」による経済的負担が最も高く約4788億円で、癌種別ではヘリコバクター・ピロリ菌による胃癌が約2110億円、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸癌が約640億円と推計されました。

以上から、ヘリコバクター・ピロリ菌、ヒトパピローマウイルス感染によるがん(喫煙による肺癌も含めて)の予防と制御を行うことによって、命を救うだけでなく、長期的には経済的損失(コスト)も防ぐことも可能であることが分かりました。

 

せめて、ワクチン接種や治療という選択肢がある「感染に起因する癌」だけでも防ぎたいですねw (小児科 土谷)

 

 

 

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