院長先生のブログ
風邪を繰り返すのですが、免疫不全ですか?

一般外来をしていると、繰り返す感冒を主訴に来院されるお子さん、保護者の方が沢山おられます。
よくある質問のひとつに「こんなに風邪を繰り返しているのですが、うちの子は免疫が悪いのでしょうか?悪い病気なんじゃないでしょうか?」という質問があります。よく耳にする質問なので、今日はこれに関連した話題にしたいと思います。
原発性免疫不全症を疑う10の徴候
原発性免疫不全症を疑う目安として、国際的にはJeffrey Modell Foundationsの10 warning signs of primary immune deficiencyが用いられています。厚生労働省の原発性免疫不全症に関する調査研究班がこれを「原発性免疫不全症を疑う10の徴候」と翻訳しているので、ご覧になってみて下さい。
PIDJ 原発性免疫不全症候群 医療関係者用サイト (riken.jp)
1)乳児で呼吸器・消化器感染症を繰り返し、体重増加不良や発育不良がみられる
2)1年に2回以上肺炎に罹患する
3)気管支拡張症を発症する
4)髄膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、敗血症、皮下膿瘍、臓器内膿瘍などの深部感染症に2回以上罹患する
5)抗菌薬を服用しても2か月以上感染症が治癒しない
6)重症副鼻腔炎を繰り返す
7)1年に4回以上、中耳炎に罹患する
8)1歳以降に、持続性の鵞口瘡、皮膚真菌症、重度・広範な疣贅がみられる
9)BCGによる重症副反応(骨髄炎など)、単純ヘルペスウイルスによる脳炎、髄膜炎菌による髄膜炎、EBウイルスによる重症血球貪食症候群に罹患したことがある
10)家族が乳幼児期に感染症で死亡するなど、原発性免疫不全症を疑う家族歴がある
「原発性免疫不全症を疑う10の徴候」のうち、2つ以上該当すれば原発性免疫不全症を疑うことになりますが、風邪を繰り返すケースは体重増加不良や発育不良が無ければ10の徴候に当てはまらないので、精査は必要としませんので、ご安心ください。 (小児科 土谷)