乳児健診をしていると、いろんなことを保護者の方に相談されます。

あっさり結論だけ伝えているので、もっと説明すればよかったかな？っと後で反省することしきりですが、今朝の話題もそんな健診の相談事項から思い出した論文（JOGNN, 42, 203-214; 2013.DOI: 10.1111/1552-6909.12015）です。

イングランド北西部の教育病院と参加者の自宅で行われた、評価者ブラインドランダム化対照非劣性試験です。出生後48時間以内に選ばれた健常新生児370人を、洗浄製品による入浴群（159人）と水のみの入浴群（148人）にわけ、プライマリアウトカムとして経表皮水分蒸散量（TEWL）を、セカンダリアウトカムとして角質水分量、表皮PH、皮膚の臨床的な観察、母親の見解の変化を評価しました。

242人（78.8％）の乳児で完全なTEWLデータを得ることが出来ました。

TEWLでは、洗浄群は水単独群と比較して、非劣性でした（intention-to-treat解析：湿疹、新生児の状態、試験開始時の家族歴により調整した洗浄群vs水単独群：95％信頼区間[CI] -1.24～1.07, per protocol解析：95％CI -1.42~1.09）。

セカンダリアウトカムに有意差は認められませんでした。

＊14日目の角質水分量に有意差が認められたものの、調整後この差は統計学的に有意であるとはみなされず、28日で減少していた。

＊＊母親の見解「匂い」、「この洗浄方法を続けるか？」の質問で有意差あり：保護者の感じる匂いに有意差を認め、水単独群の保護者の多くは洗浄方法の変更を希望していました。

以上から、新生児の入浴における洗浄製品使用群と水単独群で有意差は無いことが分かりました（洗浄製品の使用は悪くない）。

保護者の印象という点で有意差がありましたが、洗浄剤を使用しても赤ちゃんの皮膚のバリア機能は下げないみたいです。もちろん「洗いすぎ」はいけませんけど。。　（小児科　土谷）