院長先生のブログ
COVID-19 味覚・臭覚障害⑤
軽症COVID-19患者の嗅覚障害について、ウイルス亜種ごとに後方視的検討を実施した論文(JAMA. 2022;328(6):582-583. doi:10.1001/jama.2022.11006)を紹介します。
2020年3月16日~12月22日がオリジナル株、2021年3月1日~6月30日がガンマ株、2021年8月2日~11月10日がデルタ株、2022年1月4日~3月28日がオミクロン株感染が主に認められました。軽症COVID-19患者6053名のうち、2650人が嗅覚障害を呈しており、嗅覚障害の有病率はオリジナル株期では52.6%、ガンマ株期では27.5%、デルタ株期では42.1%、オミクロン株期では5.8%でした。オリジナル株期と比較して、ガンマ株期(調整オッズ比0.48,P < .001)およびオミクロン株期(0.07,P < .001)では、臭覚障害が認められた頻度は低かったことが分かりました。
以上から、ウイルス株のタイプは嗅覚障害に影響する模様です。ただし、オミクロン株が嗅覚障害の合併は少ないと言っても、ゼロではないのでご注意を。 (小児科 土谷)